催眠の歴史
催眠の歴史23
催眠の歴史は、すでに原始時代にその萌芽が見られます。病気治しや、他の部族との戦いの際に部族民の士気を鼓舞するなどの目的で催眠的テクニックが使われていました。
その後、古代のギリシャやエジプトでは、「眠りの寺院」と呼ばれる神殿で催眠療法と言ってもいいような治療が行なわれていました(もちろん当時は催眠という言葉はありませんでしたが)。
しかし、現代の催眠の歴史は、18世紀に動物磁気による治療を行なったメスメルから始まった、と言っていいでしょう。その後、19世紀にイギリスのジェームズ・ブレイドが初めて「催眠」という言葉を使い、催眠ならびに催眠療法は幾多の変遷を経ながらも発展を続けてきました。
ただメスメル以降約200年もの間、つまり20世紀半ばまでの間、催眠や催眠療法はけっして正当な評価を受けることはありませんでした。「インチキ」とか「まやかし」と決めつけられたり、「公序良俗に反する」とか「人心を惑わす」などの悪評を立てられたりと、否定的にとらえられることも少なくありませんでした。
このように催眠の歴史は順風満帆というわけではありませんでしたが、第二次世界大戦後に催眠の世界にも明るい光が射し込んでくるようになりました。
第一次世界大戦後に無数の戦争神経症の患者が発生し、催眠分析という方法で多くの患者が救われました。そして、第二次世界大戦後にはそれ以上に大量の戦争神経症の患者が続出しました。また、ベトナム戦争の帰還兵の中にも戦争によるPTSDの患者が多数発生しました。
これらの患者に対して催眠療法は非常によい治療効果を上げました。それも短期間で目覚しい効果を上げることができたのです。
こうした成果を受けて、催眠や催眠療法が初めて公けの場で認められるようになりました。まず1955年にイギリス医学会が医療における催眠の効果を認定することになったのです。そして、精神治療の臨床場面で催眠を使うことができる医者を養成する必要について言及しています。
また、1958年にはアメリカ医学会も同様に催眠の有用性を認めたのです。さらにアメリカでは催眠療法を行なう者に対する資格制度の導入も図られてきています。
このように催眠や催眠療法が公的に認められたというのは、長い催眠の歴史の中で大きな進歩です。もちろんいまだに催眠に対する誤解や偏見は完全には払拭されてはいませんが、それは私を含めて催眠に携わる多くの人々の努力にかかっていると言えます。
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